ケータイ小説 野いちご

この作品のキーワード

早く気づけよ、好きだって。

Lovers*1
意外なきみの素顔


入学式から五日が経った。この土日で桜の花は見事に全部散ってしまい、少し寂しい気持ちになる。

新しいクラスは同じ中学からの知り合いがほとんどいなくて、さらには蓮や百合菜ともクラスが離れてしまった。

一年生だけで十クラスあり、私は四組で蓮と百合菜が十組。

十組は廊下の端っこの奥の奥なので、意識してそこに行かないと、校内で二人に出くわすことはほとんどない。

朝一緒に登校してから、放課後まで顔を合わせないなんてことはザラだ。

中学の時はいつも二人と一緒だったから、最初はとても心細くて不安だった。


だけど、その不安は入学式の次の日には消し飛んでいた。

そんなところが蓮に楽観的と言われるゆえんなのかな。

机にうなだれていると、前の席の椅子がカタンと音を立てた。

「桃、おはよう」

それと同時に降ってくる優しい声。

私は勢いよく顔を上げて、目の前にいる人に笑顔を向ける。


「おはよう!」


彼女は高校に入ってからすぐにできた友達の、戸川 皐月(とがわ さつき)。

入学式の日にキョロキョロ辺りを見回して誰に声をかけようか迷っていた皐月に、後ろの席にいた私から声をかけたことがきっかけで仲良くなった。

基本人見知りをしない私は、誰とでもすぐに仲良くなることができる。

だから皐月に声をかけることには、なんのためらいもなかった。

皐月は私よりも背が低くて、色白で華奢で、チワワのようなクリクリの目をしている。

どこか儚げで頼りなくてふわふわしていて。

女子の私から見ても、守ってあげたくなっちゃうような可愛い女の子。

だけど話すと意外にもしっかりとした自分の考えを持っていて、芯が強くてブレなくて、まっすぐで。

意外とサバサバしているところもあったり。


< 19/ 246 >