ど、どうしよう……二人きりだ。
瑠夏ちゃんが帰ったあと、気まずい沈黙が押し寄せた。どうすればいいかわからず、視線を右往左往させていると。
「行くぞ」
「あ、う、うん!」
そう言って水野君が歩き出したので、私もあとを追って歩いた。河原にはたくさんの人が列を作って歩いていて、水野君は流れに逆らうように神社の方へと向かって行く。
駅は反対方向なのに、どこへ向かっているんだろう。
帰る人も多いけど、屋台にもまだまだ人が並んでいて、お祭りは終わる気配を見せない。
たどり着いたのは神社の前。河原に人が溢れていた分、神社の中はさっきよりも大分人が減っている。これなら人にぶつからずに歩けそうだ。
「まだ時間大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
「食い足りなくてさ。ちょっと付き合えよ」
水野君は神社の中に視線をやり、私の返事も聞かずに中へと入って行く。
もう少し一緒にいられるってこと?
もう帰るもんだと思っていたから、その申し出はとても嬉しい。
胸を弾ませながら、一緒に屋台を見て回る。水野君はさっきたこ焼きと唐揚げを食べていたのに、今度は焼きそばと焼き鳥とイカ焼きを買って食べていた。
さすがは男子だなぁなんて思いながら、私はいちご飴を買って歩きながら食べる。
「それ食ってると、マジで子どもみたいだな」
「いちご飴をバカにしたね? いちご飴をバカにした人は、いちご飴に泣くんだよ」
「はは、なんだそれ。聞いたことねーよ」
「私が今作った」
「マジでお子ちゃまだな」
バカにされているとわかっていながらも、そんなやり取りが楽しくて頬がゆるむ。