駅からの道を早歩きして

アパートの階段を急いで上っていく。

今から、シャワーだけ浴びて……

直ぐに出れば、ぎりぎり間に合うかなっ。

頭の中でする事を整理して

部屋の手前まで歩いていくと

その足が止まった。

「……勝平…。」

私のアパートの扉の前で座り込んでいる

勝平の姿を見つけた。

私の足音で彼は、顔を上げると

ゆっくりと私の顔を見上げた。

「……紗和。」

「……えっ!勝平…っ!

どうしたの?!」

私があわてて彼の側に駆け寄ると

彼は、疲れた様子で私の顔を

じっと見つめる。

「……どこ、行ってたの……?」

「…あの、ちょっと…

クラスの生徒の事で、色々あって…。」

「……色々……?」

「……うん……」

そう言いながら部屋のカギを開け

入ろうとした時

ガシッ!

急に勝平が、ドアを掴んだ。

そして私を玄関に引き入れて

扉を勢いよく閉めた。

「……勝平?」

「入ってって言わないの?」

そう言うと彼は、無言で

部屋に入っていく。