私…

彼の事、好きになったの?

本当に……?

それで……一体、どうするの?

……彼は私の生徒なんだよ?

生徒と恋愛するつもり?

やっぱ、ダメだって…っっ。

好きになってはいけない人だ。

それなのに…

どうしても……気になってしまう。

…これ以上、追いかけても…

どうにもならないってわかってるのに。

目の前が急に回転していく…

ぐるぐるぐるぐる…

目が回る…

あ……何だか……

気持ち悪くなってくる…。

「もう…無理っっっっっ!」

ガバッ!!

「ちょっとぉ~紗和?どうした?」

目を開けると親友の日向子が

驚いた顔で見下ろしていた。

「…あっ、ごめんっ…夢が…。」

そうだ…

私、あれから日向子のアパートに

居させてもらってるんだった…っ。

「大丈夫?…

寝言が切羽詰まってたよ?」

そう言って笑いながら身支度をしている

日向子をボーッとして見ていると

「紗和…大丈夫なの?あれから…

澤山先輩から何か連絡あった?」

私を心配そうな顔でみてくる。

そうだ…あの日の事を

日向子にはまだちゃんと言ってないんだ。

「……うん…」

「仲直りできそう?」

「………それが…」

何て言ったらいいのかわからない……

日向子…新井くんとの事知ったら

軽蔑するかな?

それが原因で勝平とあんな事になって…。

そう考えると怖くて話すことができない。

そんな私の不安な気持ちを察知したのか

日向子はそれ以上は何も言わなかった。

「…紗和、遅刻するよ?」

「…えっ?あっ!」

リビングの時計は7時半だった。

「私、先に出るから鍵よろしく~!」

そう言って日向子は、出掛けた。

ガチャン…!

「日向子…ごめん、ありがとう。」

私…

自分でも今のこの状況を

どうしたらいいのかわからない。

ふと携帯を見るとピカピカ光っている。

……勝平からの着信。

着信履歴が勝平でいっぱいだった…。

あの日から、勝平を無視している。

逃げても、何も変わらないって

わかってる。

でも、あともう少しだけ時間が欲しい。

しっかり気持ちを整理して

ちゃんと説明したいから…。