俺はその後、空にぃに茶封筒の中に入っていた現金を渡した。それから俺はバスケットと白龍のデータを持って、兄さんの病室に行った。









勢いよくドアを開けた。すると、兄さんが眠るベッドの奥にあった窓のカーテンが少し、風で揺れた。








昨日みたいに足の横に座って、俺は語った。







「……なぁ、兄さん。今日、空にぃに会ったよ。……あの人兄さんにみたいに暖かかった」





兄さんが空にぃを尊敬した理由がわかった気がしたんだ。といっても、ほんの少しだけど。






「……兄さん、俺はちゃんと生きるから。




空にぃと、光輝さん達と一緒に、……兄さんが目覚めんの信じて待ってるから」






バスケットからクロワッサンを取り出し、ちぎって食べってみると、高級そうなバターの味が口いっぱいに広がった。





「………うま」




思わず口からそんな言葉が漏れた。



仕事してた時は、女の家で何を食べても美味しいと思わなかったのに。

涙が零れた。


まるで人に抱きしめられてるかのようにあまい。あったかい……。



俺はその日、真心が込められたご飯は美味しいことを十年ぶりに思い出した。