瞳と長谷部先生のやり取りを見ていた田川先生に腕を抑えられた。


「ああ!」

「あなたも…。」


ばれたか、もう言い逃れは出来ない…。とほほ…。


「2人とも諦める事だね。」


長谷部先生が笑いながら言ってくる。
もう!本当にもう!嫌になっちゃうな。


体温計が鳴った。自分で取り出す。だって瞳みたいに服の中に手突っ込まれて体温計奪われるのはいやだもん。


そして表示を見てため息。見なかったことにしよう。


「いやいや、見なかったことにはさせないよ?私がバッチリみたし。」


あれ、声もれてた?


「声にも出てたし、それに表情が物語ってるよ、教師をなめちゃいけません、なんてったって人を見るのが仕事だからね!」


まあたしかにそれはそうなんだけどさ…。
色んな意味でプライバシーないよね、それって…。


「そういうわけだから、ちゃんと体温の欄も書いちゃいなさい、39.2って。」


口に出して言わないでよね、本当に…。
なかなかこの先生は面倒見が良いらしい。
恨めしい表情を作り、田川先生を見つめる。


「そんな顔してもだめー。はい、残りを書いちゃいなさい。」

「はーい…。」


先生に逆らうことはかなわず、残りを記入し終えた。

長谷部先生が私と瞳の問診票を受付へと持っていった。