受付で長谷部先生が手続きをしている。


そういえばどうして先生が病院まで着いてきてくれるんだろう…。


「私立の学校だからじゃない?」


心の声が漏れていたらしい。晴が答えてくれた。


「お金があるってこと?」

「多分?」

「それもあるけど通常ならそんな事しないよ。あなたたちの場合、昨日ご両親からお願いされたから。本人たちだけなら絶対行かないからよろしくって。」


田川先生が答えてくれた。
お母さん、なんてことを言ってるんだ…。


「でもどうしてそれで動いてくれるんですか?」


晴が聞いた。それ、私も気になってた。


「それはうちの理事長の方針かな。保護者のご要望で不可能だったり理不尽だったりしないものは、その要望をきちんとかなえなさいっていうね。」


なるほど、それで今こういう状況になってると…。
あとは帰って寝るだけだったのにー!!


「瞳、全部顔に出てる。」


え、まじ?ごめんー。

って顔で晴を見ると晴は呆れ顔、田川先生は苦笑い。


「素直でいいじゃないですか。」


田川先生が半分笑いながら言った。


「ここまで顔に出る人もこのご時世なかなかいませんけどね。」

「確かに。」


2人して笑ってる。
もう!恥ずかしくて顔から火が出そう。

なんて赤面してたらクラクラしてきた。さっきまで恥ずかしくて暑かったのに今ではちょっと寒い。一瞬で自分の顔が強ばったのがわかった。


「瞳!どうしたの?大丈夫?」

「大丈夫だよ…」


相変わらず虚勢を張ってしまう。
朝飲んだ頭痛薬の効果が切れたんだな。それにしてもじわじわじゃなくてこんなに急に切れるとは…。だれも思ってもないって。


そこに長谷部先生が受付を終えて戻ってきた。


「どうしたの?体調悪い?」

「瞳朝から薬飲んだって言ってて…!朝から本当は体調悪かったのに、私自分のことでいっぱいで気づけなかった…!」


晴が涙を流しながら長谷部先生に答える。
晴、泣いたら喘息出ない?大丈夫?心配かけてごめんね…。