私は大好きな人がたくさんいる

おばあちゃん

お母さん

お父さん

お兄ちゃん

おねぇちゃん

まだまだたくさん。

小さい頃の私はそのなかの誰かがいなくなったときのことなど
想像すらできなかった

今となっては顔も思い出せない。ただ優しい声。暖かい背中。一緒に食べたイチゴパフェ。
その大事なことは忘れていない

大好きな人へ。この声届きますように

あの時はわがままいって寒いなか買い物にいかせてごめんなさい。

いつも困らせてばかりでごめんなさい。

明らかに私が悪いのにあっち行けなんていってごめんなさい。

小さかったからなんていいわけ言っても貴方はもう戻らない。

喧嘩して仲直りしてその繰り返しだったね。

大好きだった歌声をてを繋いで聞きながら、私も歌ったあの日。もうあんなこともできない。

私が駆けつけたら貴方は平気そうに笑っていたね

後で聞いたよ。
私に目の前で泣いてほしくないからって、学校に安心して言ってほしいからって、病院の先生まで言いくるめて、対したことはないよって。

もうどれだけ心配したと思ってるの

バカみたいに笑ったあの時間が最後だなんて嫌だよ。
いっぱいいっぱい話したいこともあった!
いっぱいいっぱいお礼がいいたかった!
謝りたかった。
私のお嫁さん姿見てくれるって約束したのに。
どうして?どうしてなの?

私が帰った瞬間息をひきとるなんてずるいよ。あんなに笑ってたじゃない。
大丈夫だっていってたじゃない!

ウソつき

小さい私はそうやって、大好きな人を死んだ後に攻めに攻めた。

信じられなくて。

今でもまだ夢にみる最後の時間。

なぜ、もっと話さなかったのか、後悔ばかりだ。


葬式のひがやってきた

触ると冷たいからだ。
あの暖かかった手もつめたい。

呼び掛けてももう目をあけない。
いつもならあの優しい顔でほほえみかけてくれるのに

葬式はそんな私をよそにどんどん先に進む

葬式中私は泣かなかった。泣けなかった。

実感がなかったからもある。でもいつもなら側にいて、遊んでくれていた人が今はいない。

それだけなのに。それなのに。大事なものがとれたかのように私はずっと。ぼーっとしてばかり。

ごめんね。ごめんなさい。ごめん。

その言葉しか出てこない。

その時気のせいじゃない

きこえた
たしかにあの歌が

回りをみるけど皆ないていてうたってる様子はない。

それより私はその声に驚いた

あの人だ

それは小さい頃の私に最初で最後の幽霊の声だったのか
今ではわからない

妄想かもしれない

でも、それでも先に進めと言われてるようで、たまらなかった

そして私はやっと涙かでた


さよならは言わないよ。
今までありがとう。
ごめんね。
またあおうね。