日本に来て3ヵ月が経ちました。


お祖母様から日本語は習っていましたが、まだまだ使いこなすのは難しく、日々クラスの皆様から御教授賜っている最中です。




「春ちゃん、国語のノート有難う御座いました。
毎回お借りしてかたじけない。」



授業の間の休み時間、前の席に座る春ちゃんに借りていたノートを返した。

字が綺麗でしかも要点もまとまっていて、春ちゃんのノートはとても見やすいと教室でも評判だ。



「気にすんなって。花蓮にはいつも英語教えてもらってるんだから、お互い様ってやつよ。
それにしても花蓮、日本語上手くなったわね。ちょいちょい時代劇口調が入るけど…」



「これも春ちゃん初め、全てクラスの皆の"せい"です。」


「そこは"せい"じゃなくて、"おかげ"な。
たまに結構なボケかましてくるよな。」


「OH!またやっちまった!」


「やっちまった、とか誰に教わったんだよ。
花蓮めっちゃ可愛いんだから、そこは"またやっちゃった"って可愛く言ってほしいわ。」



凄く残念過ぎると春ちゃんは溜め息を吐いた。




可愛く言うのも中々難しいけど…やっぱり…

「日本語難しいね~
また日本語の勉強会したいよ。」


「いいよ。また皆で集まってしようよ。」



そんな話をしていると、教室の廊下側の席がざわめきだった。


何かと視線を向けると、私達の横に見知った人が現れた。



「日野さん、ちょっといいかな?」



同じ学年で軽音楽部部長の山下君だ。

山下君とは委員会の関係で知り合いになって、廊下で会えば話すくらいの関係。

そういえば、結構女子に人気だと以前春ちゃんが教えてくれたっけ。



何を感じとったのか春ちゃんはニヤニヤして私の肩をポンと叩いた。



「じゃあ、私は消えますよ。」


「消える?春ちゃん瞬間移動…」


「出来ないから!流石に無理だから!
えっと、立ち去るって言うか、"行く"って意味で使うのよ。」



OH!そんな日本語があるのですね!



「成る程!また勉強になりました。」