翌朝の学校。

「有紀、久しぶりー」

亜矢が私の机に来て言った。

「うん、久しぶり」

私は無理に作った笑みを浮かべて言った。結局、昨日は一睡もできず、今日も和海を避けるように早く家を出てきてしまった。

およそ十日ぶりの学校だ。

「有紀ちゃん、おはよう」

紗知も私を見つけてこっちに来た。

「おはよう」

「あのね、有紀ちゃん」

紗知が鞄をきつく握って、誰が見ても無理をしていると分かる笑顔で言った。

「わ、私ね、隼くんに告白したの。でも、振られちゃった」

隼……宮沢君のことか。

紗知、告白したんだ。

「だから、ご、ごめんなさい!」

いきなり紗知は頭を下げた。

「わ、私勝手に有紀ちゃんに嫉妬して、睨んだりしちゃって」

え?私、睨まれてたの?

「ほ、本当にごめんなさい!あの、もう一度友達になって下さい!!」

「あの、紗知?落ち着いて。まず、私紗知にそんなふうに思われてたなんて知らなかったし、それに友達やめたつもりないから」

「あ、ありがとう」

「いや、そんなお礼を言われるほどじゃないっていうか……」

「ううん、ありがとう」

紗知は本当の笑顔になった。