*side 和海


「どこからまわりますか?」

遊園地の入口でパンフレットを見ながら有紀が言った。

「行きたいところは?」

「特にないです」

「それならあそこ」

俺が指したのは一番人気のジェットコースターだ。
GWともあって待ち時間がハンパじゃない。

「それならそこに行きましょう」

しかし、有紀はそこにはふれず園内の地図を見ながら歩きだした。

有紀が歩くたびに周りの野郎どもが振り向く。
有紀も少しは自分が可愛いって自覚してくれればいいのに。

「有紀」

ムカつく野郎どもに見せつけるように有紀の手を握った。
有紀と手をつなぐの初めてかもしれない。

「これじゃあ、地図が……」

有紀の足が止まった。視線の先には二人のじゃれ合う男。

有紀を見ると頬を赤く染めている。

ああゆうのが好きなのか?

ムカつく。

「有紀」

「あっ、はい」

慌てたような声にまたイライラする。

「どうしてさっき赤くなってたわけ?」

ジェットコースターの列に並んでからといだ出した。

「え、、それは、、、」

有紀はしまったという顔をして俺から視線を逸らす。

なんなんだよ。あのすれ違った奴がタイプなのか。

ホント俺馬鹿みたいじゃねぇか。

「もういい。俺先に帰ってる」

有紀を見ることなく列から離れた。