ケータイ小説 野いちご

BADEND

三ヶ月

「空」
「なんだ?……って」
驚いているのだろう。
まあ、キスしたからね。(ほっぺたにだけど)
「あ、ごめんね」
嫌だったら、やめるから。
空が嫌がることは、したくない。
「いや、別にいい」
ごし、と手の甲で顔を擦り、そっぽを向く。
ここは、空の家。
初めて入ったからか、俺は、かなり緊張しているらしい。
思わずキスをしてしまうぐらいには。
最近わかったことがある。
空は、笑うときに眉が少し下がること。
俺は不安になるとスキンシップが増えること。
二つ目は、空に言われたのだけど。
「……恐いよ、何もかも」
「何か言ったか?」
「ううん」
届かないように、呟いた。
ごめん。
こんな俺を愛させちゃって。
ごめんね。
出会わなければ、良かったのだろうか。
ごめんね。
生まれてきて、ごめん。
貴方に会ってしまって、ごめん。
だけど、意地悪な俺は、貴方を求める。
離さないように、離れないように、縛り付ける。
ごめん。
ごめん。
ごめんね。
謝ったって、どうにもならないけど。
こんな俺で、ごめんなさい。
「咲」
「何?」
「こっち向け」
ぐいっと頬を両手で挟まれ、向きを無理矢理変えさせられる。
空の綺麗な瞳がすぐ近くにあって、鼓動が速くなる。
不意に、口に柔らかいものが押し当てられた。
それが唇だと理解するのに、数秒かかった。
もう一度、浅く、軽く、唇が重なる。
我に返ったかのように、ぱっと空との距離が開いた。もう少し、近くにいたかったなぁ。
「……悪い」
「なんで謝るの?」
「嫌だっただろ」
「そんなこと、ないよ」
ばつが悪そうに言う彼の声が震えていた。
恐る恐る、背中をさする。驚いたのか、びくりと一度跳ねたが、それからは何も反応がなかった。それに甘えて、背後から抱き締める。
あげた顔に、涙の痕が残っていた。
ごめん。
俺に会わなければ……そんな顔、しなくて済んだだろうに。
本当に、ごめんね。

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