ケータイ小説 野いちご

BADEND

九ヶ月

憂いたっぷりに、机に突っ伏す。ひんやりとした感触が気持ちいい。雨で湿気が凄いが、それがあまり気にならないくらい、憂鬱だった。
入学して3ヶ月くらい。
昨日の夜、空に会った。
いや、会った訳ではないな。
見られたのだ。遊んでいるところを。
昨夜、女と路地裏でキスした時のことだ。
「……?」
視線を感じた。さりげなく、なるべく自然に、視線を後ろに向ける。
誰かが去っていく後ろ姿が見えた。
その後ろ姿に、見覚えがあった。
暗がりでよく見えなかったが、あれは空だろう。確信があった。
空とは家も近いしな、見られる可能性はあった。もっと気を付けるべきだったか。
まあ、今更後悔しても、しょうがないだろう。
『女遊びが激しい』なんて噂まで広まってるし。事実ではあるが。
空に……一番大切な奴に、想いを馳せる。
もう終わりにしよう。
空だって、本当のことを知ったら、俺を嫌いになるだろうし。
なら、早く嫌われてしまおう。もっと仲良くなって、もっと別れが辛くなる前に。
教室のドアが開く。
どこか緊張した様子で入ってきたのは、さっきまで考えていた奴だ。
「あ、空ー」
笑顔を貼り付け、駆け寄る。
空と普通に話せるのが今日で最後だと思うと、悲しくなる。それを表に出さないよう、明るく、朗らかに。
空が俺を見て、表情を強張らせる。ごめんね、そんな顔させちゃって。
「ちょっと話があるんだ。放課後、時間ある?」
「……ああ、ある」
固まった声を絞り出すようにして、空が返事をする。
放課後、来なければいいのに。

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