強い風が窓を叩きつけた。

校庭の桜がものすごい勢いで散っていく。

春の嵐である。

また、先程の風よりも強い風が教室の窓を叩きつけた。

「…………?…………え?」

その音で川松永遠は目覚めた。

「どこ…………ここ。…………てか暗いし。」

永遠は困惑を隠しきれない様子で周りをキョロキョロ見渡した。

立つことはできなかった。

それほど辺りは暗かった。

しかし、ここが外ではないことは明白だった。

風の流れがない。それに今永遠が座っている場所は道路でもない草むらでもない。

どこだかは分からないがどこか室内にいると言うのは分かった。

しばらく思考を巡らせていると

「…………と、永遠ちゃん?だよね?」

永遠はバッと振り返った。

その声がしてからもしばらくは黙っていた。

「永遠…………永遠ちゃんじゃないの…………?」

「伊代!?伊代なの!?」

もう一度声を聞いて気づいた。

渡部伊代の声だった。

「う…………うん。私だよ」

「ちょ、っと待ってて!!そっち行くから‼伊代動かないで!!」

伊代が返事をしたのを聞いてから手探りで声のする方へと向かう。