ーーキース・ニルヴァーナ侯爵に誘われて、海のほとりに建つ彼の城へ来ていた。

紅と白の薔薇が鮮やかに咲く庭園を散策しながら、

「ここは、ブルーカレント城というんですよ」

そびえ建つ白亜の城を指差されて、

「……そうなんですか」

ぼんやりと眼下に横たわる海を眺めて答える。

「……心ここにあらずといった感じですか?」

クッ…とくぐもった笑い声が耳に入り、

「何がですか?」

と、その顔を横目に見やる。