ーーダンスフロアで踊る男女を他人事のように眺める。

「……どうして、リュートがパートナーじゃいけないのよ……」

さっきまで回されていた彼の腕の温もりが感じられて、自分の腰をぎゅっと抱える。

まだ、庭の方からこちらへ戻って来ていないリュートを目で探していると、

「……踊っていただけませんか? ジュリア・バートリー嬢」

目の前に誘いの手が伸ばされた。

顔を仰ぎ、相手を見やる。

「……私は、キース・ニルヴァーナ侯爵…さぁ、どうぞお手を」

ブロンドの長髪に碧い眼……いかにも顔に自信がありそうなナルシストって感じ……。

咄嗟にそう思うけれど、自分よりも格上に当たる侯爵の誘いを、断れるわけもなかった。