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プロジェクトは動き出し、毎日が戦場のような状態だけどその事にホッとしている自分もいる。

もちろん早希とは相変わらず連絡がとれなくて不安だし、心配。
でも高橋によると早希のバックにはあのタヌキがいることはほぼ間違いがないらしいのでそれだけは安心材料になっている。
だから早希からの連絡を待つしかない私の忙しい時間は気を紛らしてくれている。

あれから、副社長から直接コンタクトされることはなく、私に話しかけてくるのは副社長秘書の女性になった。
私から教えられる情報なんて何もないのだけど。

懸念材料だった小林主任との仕事もはじまってしまえば、どうってことない。いや、むしろやり易い。そもそも仕事のやり方はこの人に教わったのだ。

必要になりそうな資料を提示すれば、その二つ先までの指示をもらえる。
更にその先は主任の指示はない。私の考えで動き最終的に主任が印を押す。

そういう意味で言えば私たちはグッドパートナーだ。
それに、仕事での接点はあってもほとんどプライベートな会話もする時間がないこともラッキー。
プロジェクトチームには他にも数名のメンバーがいるし、何より本当に忙しい。

ただ、高橋とも会えなくなってしまった。
彼も国内向けの新規プロジェクトのメンバーになったらしくてかなり忙しいらしい。しかもプロジェクトのメンバーには副社長の名前があった。

・・・神田部長が言ってたのはこのことだったのかと気が付いたのはしばらくたってからだ。
本当に何者なの、あのタヌキ。