翌日初出勤すると、総務部の柴原さんが「配属先は秘書課です」と言ってきた。


「秘書?」


驚いて聞き返すと「ええ」と頷き「社長からそう言われました」と付け足してくる。


「社長が?」


紫苑ってば何を考えてるんだ。


一瞬呆れ、目を点にしてしまう。
柴原さんは私が脳内で考えてることなんて気にも止めず、「取り敢えず社長室に出向きましょうか」と五階の社長室へと向かって歩き出した。


「三橋さんは社長とは以前からのお知り合いですか?」


エレベーターが上がってくるのを待つ間、早速身辺調査が始まる。
ちらっと目線を向けると柴原さんはニコッと微笑み、一昨日のことを話しだした。


「お電話を頂く前に社長から言われてたんです。『三橋萌音という者から電話があると思うから宜しく』と」


中途採用希望者だと説明を受けたらしく、それであんなにスムーズな対応だったのか…と納得がいく。


「社長はよくご自身のお知り合いを中途採用されるんです。制作部のプログラマーさんとかシステム部のエンジニアさんとか特に。