翌日の午後二時半、私はガラス張りのオフィスビルの一室にいた。


昨日、両親に勧められるがままに紫苑が斡旋してくれたオフィスへ電話をかけてみると、応対してくれた女性は「総務部の柴原です」と名乗り、私が名前を告げると直ぐに、「三橋様ですね、お話は伺っております」と愛想のよい返事をしてきた。


「早速で申し訳ございませんが、明日の午後二時半に予約をお入れ致しますので、弊社の面接を受けにおいで下さい」


履歴書を持参で…と続け、「面接は社長が直に行います」と緊張する情報も付け足してくる。


こっちはいきなり社長面接か…と驚いたが、取り敢えず「よろしくお願い致します」と顔も見えない相手に向かい、ペコンと頭を下げてから電話を切った。


紫苑が置いていった紙きれに書かれた『CONシステムサービス』という会社は、十階建ての商社ビルの中にあり、その四階と五階の一部をオフィスとして借りている。


ビルは自宅の最寄り駅から四駅しか離れておらず、通勤時間もこれまでの半分で済むということが分かり、私は渋々ながらも少しはラッキーだった…と気持ちを切り替えるように仕向けていた。