新幹線を降りてホームに立つ。
一つしかない出口を通って外に出ると、私に気づいたおじいちゃんとおばあちゃんが手を振ってくれた。

「おじいちゃん、おばあちゃん……!」

私が持っていた荷物をその場に放り出して二人に抱きつくと、二人もぎゅっと私のことを抱きしめ返してきた。
久しぶりに人の温もりを感じて、少し心が落ち着いてくる。

私は昔からお父さんやお母さんといる時よりも、おじいちゃんやおばあちゃんといる時の方が楽しかった。
長期休みの時はいつもこっちに来て過ごしていた。だからお母さんにしばらく遊びに行っちゃダメって言われた時は、本気でお母さんのことが嫌いになった。
そのあとは電話でしか話していなかったから、都会に出てこられない二人に会うと、心が落ち着いた。

「いらっしゃい、ゆりちゃん。車で来ているから、早く行こうか?」

「ゆりちゃんの好きなスイカ、冷やしておいたからな。あとで食べよう」

二人の優しさに笑顔になる。
私の余命のことを聞いているはずなのに、そのことを口に出さないでくれるおかげで、ここ二、三日の緊張が和らいだ。

最後にここに来たのは遠い昔。まだ私自身幼かったから、駅の記憶なんて全くなかった。
都会の方にいるとみんな歩く速度が速くて、私はそれについていくどころか、他の人の迷惑にならないように端っこまで行くのすら困難なのに、こっちはローカルというかなんというか、あまり歩くのが早いわけでない私よりもさらに時間の進みがゆっくりに感じた。