ケータイ小説 野いちご

嘘吐きたちの末路(短編集)

彼は嘘つきだ


【彼は嘘つきだ】



 思えば嘘つきな彼だった。

「転職するからもう会えなくなる」と嘘をついて、焦ったわたしに告白させたり。「今日会えなくなった」とメールを寄越したのに、実は待ち伏せして驚かせたり。

「おまえは寂しがり屋だから、俺より先に逝けよ」これも。
「俺がよぼよぼのじいさんになっても、しわしわのばあさんのおまえを大事にするよ」これも嘘。

 でも、「おまえが好きだよ」という言葉だけは、嘘じゃなかったと信じたい。

 目を伏せたら、黒服が濡れた。






(了)

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