ケータイ小説 野いちご

席がえするたび、誰か死ぬ

席がえ第1回目
*歌が聞こえる



【武内涼介】


月曜日、クラスはいつもより浮き足立っていた。


月曜日は気だるさMAXなのが普通だが、この1組においてはそれがない。


「おはよう、武内くん」


爽やかな風が吹き抜ける。


美雪ちゃんは今日も美しい。


でもちょっと__元気がないな。あの男みたいにデカい稲葉元子に目をつけられたからだ。空の給食が用意され、食べ終わるまで誰も話し掛けない。


ここ何日か、まるでイジメじゃないか。


「おはよう。あの良かったら俺と給食、食べない?」


ちょっと早口になったが、転校生の不安な気持ちは分かる。


俺はすぐに野郎と仲良くなれたが、女子はそういうわけにはいかないだろう。


少しでも俺が解消してあげたい。


「ありがとう。でも大丈夫。ダイエットにいいし」


なんて殊勝なことを言う。


あの給食を仕切っている稲葉に楯突くのは、得策じゃないのは確かだけど。このままじゃあんまり可哀想じゃないか?


「月曜日には席がえあるんだよ」


「席がえ?それでなんかみんな、落ち着かない感じ」


「そうなんだよ。俺は今のままでいいけど」


「えっ?」


驚いた顔も可愛い。


「なーんてな」と誤魔化すと、ようやく笑ってくれた。なんだかんだいって、笑顔が1番だ。少しでも気分が変わってくれるといいけど。


でも俺は、ホントにこのまま隣同士が良かった。


君の隣が。









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