夏の夜。

僕は高校の友達の結婚式の二次会に来ていた。
「恭也ー!!
彼女いないのー?」

「お堅いメガネくんは今年30歳でしょ?」

みんな酔っ払っていて
僕への絡みがいつもより激しい。


確かに、大企業に就職したし
あとは結婚するだけのはず…

でも、人を愛することは難しい。
ましてや、人を思いやるなんて難しい。

「恭也さぁー
完璧女性を求めてるんじゃね?

俺の嫁さんなんて、帰ってきたらソファでグータラよ?
それが現実なんだ。」

1人の友人がそう言うと周りの既婚者も大きく頷いていた。



「僕はまだいいかな…」

「おいおい。恭也、30過ぎたら焦り始めないとあっという間に、独身人生に乗ってしまうよ?」

「そーそー!!
それじゃなくても、お前老けて見えるだからさっ!」

「でも、国分くんってそれでもかっこいいからずるいよねー」

「そんなことない。
僕はお前らみたいに器用じゃないから
妻子を持つとか考えられないんだ。」


「大丈夫だって!!
あーあー
可愛い女の子が落ちてるといいなぁー」


そんなことあるわけない。
そう、みんなで話ながら飲んで…


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「落ちてるよ。」


二次会の帰り、公園で寝ている
天使の様な女の子を見つけた。




それが、僕と愛菜の出会いだった。