じわじわと水平線に沈んでいく真夏の太陽。

まるでこの世界にある全てのものを燃やしつくしてしまいそうな、鮮烈な赤光を放つ大きな大きな夕日は、驚くほどに力強い。


目が眩みそうなくらいに鮮やかな、一面のオレンジ色に染まった海を見つめながら、私は君の胸に頬を寄せる。

君の鼓動が、私の鼓膜を優しく揺らす。


私は目を閉じて、心の中で語りかける。


――ねえ、大好きだよ。

本当に、本当に、大好きだよ。


君がいなければ、私はきっと今まで生きてこられなかった。


私たちはもう、一緒にはいられないけれど。

どうか幸せになってね。


さようなら、世界でいちばん大切なひと。

たくさんの『ごめんね』と、数えきれない『ありがとう』と、たったひとつの『愛してる』を君に――。