ホットプレートに小ぶりな餃子をこれでもかって敷き詰めて焼くのが、遊佐家の流儀。男の胃袋なら軽く二十、三十はいけると思う。
 
「仁は野菜もちゃんと食べなきゃ駄目よ? どうせ外食ばっかりなんだから」

 瑤子ママは何だかんだ言いつつ、久しぶりに里帰りした仁兄の世話も焼いて。

「そりゃ宮子だろ? まともな料理が出来るとは思えねぇけどな」

「~~~っ、ちゃんと自炊してるもん! 仁兄には言われたくない」

「お前より美味い飯が作れる自信はあるぞ?」

 ビールを飲みながら、ほくそ笑まれた。 

 こうしてると。こないだのコトなんてまるで夢だったみたいで。
 あたし達は兄妹に戻って、普通に軽口も叩き合えてた。

 悪い冗談だったって。笑い飛ばせるならもうそれでいいよ。
 あの話はおしまい、聴かなかったコトにする。

 ねえ・・・仁兄。