それからあたしは今日の出来事を思い出していた。


いつも通り学校へ行き、いつも通りの時間に教室を出て、そのままバイト先へ向かった。


週3回、決まった曜日に出勤しているアルバイト。


帰りの時間もいつも同じだった。


犯人はきっとあたしの生活パターンを把握していたに違いない。


あたしが1人で裏路地を帰っていることも、どこからか見ていたのだろう。


いつ誘拐するか、今か今かとタイミングを見計らっていたのかもしれない。


そう思うと悔しくて唇をかみしめた。


いつも通りの日常だと思って油断していた。


もっと注意深く行き帰りをしていれば、変化に気が付いたかもしれないのに。