真由の船頭に寄って連れて来られたのは、学校裏の狭い路地を進んで行った場所にあった。


「こんな所に喫茶店なんてあったんだ」


あたしは茶色い屋根のお店を見てそう呟いた。


入り組んだ細い路地はなかなか通る事がない。


「うん。去年できたばかりなんだよ」


真由がそう返事をした。


入り口には《喫茶 未来》と書かれている木製の、起き方看板が出ている。


看板の前には小さなプランターがあり、今も色とりどりの花を咲かせていた。


清潔感のある外観にあたしは好意を抱いた。


「珍しいな、喫茶店がオープンするなんて」


そう言ったのは川田君だった。


ズボンのポケットに両手を入れて、どこか蔑むような目で喫茶店の入り口を見つめている。