「初めてのナンパにしてはいい物件だったね」


帰り道、真由が名刺を見ながらそう言った。


「そうだよね」


気分はまた高揚している。


こんな風に異性と知り合うなんて、産れて初めての経験だった。


自分からナンパスポットへ行ったなんて、今でも夢の中にいるような感じがする。


「よかったじゃん。結構お金も持ってそうだから、付き合ってる期間も楽しめると思うよ」


真由はそう言ってあたしに名刺を返して来た。


「そうだね。でも相手は大人で車も持ってるから、ちょっと心配」


《彼氏売買所》へ行くためには必ず1度はデートをしなきゃいけない。


その時に車で来られたら、あたしは逃げ道を失ってしまうのだ。