ケータイ小説 野いちご

次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい

プロローグ


広大な土地を誇る大国アシュヴィ。

その中心で栄えている王都モルセンヌでは、今、第一王子オルキスの話題で持ちきりだった。

一見風変わりではあるが数多の予言を現実のものとしてきた魔女ボンダナが、未来のアシュヴィ王の花嫁の姿を宣告したからだ。


しわがれた声で告げられたのは、モルセンヌより北西の地に住むという、年は十七ほどのうら若き乙女のこと。

黄金色の豊かな髪、朗らかに笑う声は人の心を和ませ、深緑の瞳を細め微笑む顔はとても愛くるしい。

予言通りに運命が転がれば、その乙女と恋に落ちる王子こそが、次の国王となる。


現国王には、母親の違う子供が三人いて、そのうち男子はふたり。

もうすぐ二十歳の誕生日を迎える第一王子のオルキスは少し不愛想なところがあるのだが、その欠点を補って余るほど頭脳明晰であり、眉目秀麗でもある。

おまけに剣の腕は騎士団長に並ぶほど優れていて、素早く的確に隙をついてくる太刀筋を一目見れば、彼がいかに切れ者であるかも気付かされることとなる。

一方、四歳年下の第二王子セルジェルはとても愛想がいい。

朗らかで人当たりの良い性格な上に兄と同じように頭も良く、中性的で綺麗な顔をしている。



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