「もうウチラも3年だねぇ」



ブランコをこぎながら香莉菜が話す。



「入学してからあっという間だよねー」



季節はまた春を迎えようとしていた。
雄大と別れてから二度目の春。



「亜実もすっかり元気になってよかったよ」


「ありがとう」


あれから1ヶ月くらいはずっと入院生活だったけど、みんながお見舞いにきてくれたから元気になった。
出席日数もぎりぎりだったけど無事に進級。



「そういえば雄大も無事に進級できたってね」


「うん。昌也から聞いた」



雄大とは、お互い気持ちに区切りをつけたあの日からまったく話していない。

でも、指輪は捨てられなくて。
これだけは大切だから、お姉ちゃんからもらったネックレスのチェーンに今もついている。



「出会った頃が昨日のようだよ」



香莉菜が懐かしむような目になる。



「……うん」



そっと首から下げているネックレスの先にある指輪に手を触れる。
なんとなく、指輪に手を触れると心が落ち着く気がする。