「両思いになったの!?」

驚いたと言うように大きな声をあげて聞き返してきた敬子に、
「なりました!」

わたしはグッと親指を見せた。

「よかったわねえ、まさか相手も同じ気持ちだったなんて!」

「わたしもビックリしたよ、いきなり“好きだ”って言われちゃってさ」

そのことを思い出すと、3日経った今でも心臓がドキドキとしてくる。

「どうしよう…わたし、まだ夢見てるかも知れない」

目が覚めたら、仕事も家も失ったあの日のまま…なんてことがあるかも知れない。

「つねってあげようか?」

そう言ってきた敬子に、
「すみません、これが現実です」

わたしは言い返したのだった。

「まさか成り行きでの結婚がこんな結末を迎えるとはねえ」

敬子は信じられない様子だ。