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期待してもいいんでしょうか?


『知ってる。』


あれから一週間後。

抱き締められたことが未だに昨日のことのように思い出される。
そのたびに、胸が掴まれたみたいにギュッとなって、心音が大きくなって、また無性に会いたくなって。

私、先生のことどんどん好きになってる……。
高校生のときよりも、もっともっと、ずっと。

昼時は過ぎたけれど、sugar gardenは午後のティータイムに訪れるお客さんで割と混んでいた。
お休みの学生さんとか、町内会の集まりでお喋りしている常連さんとか。

先生はこの週末、なにをして過ごしてるのかな。
連絡、したいなぁ……。

日に日に秋の気配は深まり、色付いた葉が木枯らしに舞っている。
ドアが開いて、新たにお客様が入って来た。


「いらっしゃいませ__っ」



あまりにも先生のことばっか考えてるから、冷たい風が幻影を連れてきたのかと思った。

けれど。


「先生! こ、こんにちは!」


入店してきた先生は、幻でも生き霊でもなく、紛れもなく本物だった。

私の前を平然と無視して通り過ぎ、奥のテーブル席が混んでいたのでカウンターの端の席に座った。

せ、先生が来た……! と興奮している私にはさして興味無さげ。
本日も無愛想全開です。



「ブレンドコーヒー」
「は、はいっ!」