「んっ・・・・・・!」

真っ暗の暗闇の中で身体が起きろと命令を下してくる。
重い瞼を開けるとまず最初に飛び込んできたのはまぶしい太陽の光。

外からは鳥が忙しく羽ばたきチュンチュンと鳴いている。

朝だ。

「なんか懐かしい夢を見たな。」

実際には夢ではなく本当に合った出来事なのだ。
今から2年前、柚は事故により記憶を失った。

この2年の間で記憶が戻ることはなかった。
だが、京と利都が日常生活に困ることがないように勉強を教えてくれて柚は多少のずれこそはあるものの高校生活を送れるようになっていた。

特に記憶がないからといって困ることはない。
最初こそ抱えていた名前に対する違和感はすっかりなくなっていた。

義理の兄と名乗る2人の男性とも打ち解けており、
特に京に感じていた最初の恐怖など今は全く感じていない。