こいつだれ?
稀愛side

いつものように学校の屋上からタバコ吸いながら小さな町を見つめる。
テキトーに1日を過ごしていつの間にか太陽が顔を出す毎日。それが今の私の日常。


学校抜け出して町をプラっと歩き回る。
渋谷?のように複雑になってないまっすぐ進むだけの信号。
「赤だ…」
車なんて通ってねーのに。なーんて思いながら色が変わるのを待つ。

あ、色変わった。首を右、左、右と横に振る。よーし渡ろう。

歩き始めた途端、急になんか来た。
え、やばいやばいやばい…!!

ガシャンッ!!!

え、?生きてるあれ?どういうこと?
あたしぶつかったんじゃねぇの?
ゆっくり目を開くと全く知らない顔。
あたしを抱えてる。


ハッと上体を起こす。
「…ありがと…ざいます……」
とっさにお礼を言う。
だけどヤツは無言で右手をあげ、去っていった。なんか感じわりーな。おかげで命に別条はない。

あの制服隣の学校??だが?
明日お礼渡さねばねぇ!名前なんだべか?
何年だべか?
帰り道、何を渡せばいいか考えながら歩いてるといつの間にか家の中にいた。

「ただいま!!」
「おかえり〜」と祖母。

あ、あたしばっちゃんと二人暮し。
お父さんはお母さんと離婚してから仕事で飛行機に乗った時に墜落して死んだ。お母さんは顔も知らない。私を産んですぐ他の男と一緒になったから。

そんで7年前からばっちゃんと二人暮し。

あ、あたしはサラッとながいロングヘアー。へそくらいあるな。髪色は毛先だけ明るい茶色。中学1年の夏休みに1回金髪にしてみたけど思ったより似合わなくて明るい茶色にした。身長は割と高めで164cm。住んでるとこはばーりばり北のド田舎。まー楽で住みやすい町だ。

そんなことより!!
ばっちゃんの赤飯と豚汁は格別。この地域では豚汁をぶたじると呼ぶ。あたしはばっちゃんがつくる豚汁が大好き。

それで昼間にあった出来事を全て話した。
あたしにぶつかりそうだった車は電柱に突っ込んだみたい。


「したらその男(おどご)わらすに何かわださねぇばねぇね。」と濁点つきまくりのばっちゃん。
「何がいいべが?」
「おめぇはそったら見なりしてんだから少し女(おなご)らしぐしろ〜。」
とばっちゃん。
あ〜もう何やればいんだよ。

学校帰り柄にもなくケーキ屋に入ってみる。
お、いいじゃん。 どこにでもありそうな小さなショートケーキ。これにするが。

ぱぱっと会計すまして隣の学校の門の外で待ってみる。