「いいんちょー、頼まれごとしてくれ。」



つい数分前の先生の言葉を恨みたい。



「簡単だから!なっ?」




何が簡単よ、この荷物、死ぬほど重いんですけど?


と数分前の先生に文句をこぼすも、届くはずがなく。



何が入っているのかも分からない段ボールを持って最上階を目指すのは、私、永野 花乃(ながの かの )。




「ふぅ、」



一旦荷物を端に避けて、社会資料室の扉を開ける。



何年も掃除されていないのは目に見えている。


さらにご丁寧にも、窓から差し込む光に反射して舞っている埃たちはキラキラと輝いている。




私がハウスダスト持ちだったらどうするつもりだったの、とやっぱり先生に愚痴をこぼして、一旦荷物を取りに廊下に出る。




廊下を出ようとした時、一番奥の棚に人の気配を感じた。



気のせいだと思って、とりあえず荷物を置くために人の気配の感じた方へと足を進める。