「ごめん、こんなことになっちゃって」



「そんなのいいって。とにかく休もう、冷やそう、水分摂ろう!」



「ロッカーの荷物……」



「そんなのいいいい!なまものじゃないんだし」



急いで帰宅して薬箱を物色していると……。



「ねぇ大袈裟すぎ。なんかあったらラインするし。じゃ」



なんてクールな返答。
あっさり2階に上がろうとしてる。



なんだろう、今の。
なんで私を突き放すの?



「悠君私たち一緒に暮らしてるんだよね?隣の部屋だよね?なのにラインってなんなの?」



「電話の方がよかった?」



「そうじゃなくて!」



「もー声でかいなぁ。とにかく回復するまで悠介は旅に出たとでも思ってて。じゃ」



「だからその態度がなんかすごく……」



傷つくし、寂しいよ。



「病人は病人としての自覚を持って他者との接触を避けよってのがうちの父親の教えなんだもん。それが染み付いちゃって」



悠君は気だるそうに、冷蔵庫から水を一本取り出した。



「うちのパパは、私が熱出したら風邪菌全部もらってやるから早く元気になれってずっと頭撫でてくれてたよ?」



悠君のパパ、
さすが起業家だけあってなんか手強い。



お互いの家庭環境にこんなに落差があったなんて、今の今まで知らなかった。