桜の花がすでに散り始めた今日。

私たちは、この高校に入学する。


体育館の手前の通路で、出席番号順に並び替える。

クラスが同じ人とは全く話したこともなく。


でも……
私の出席番号の後ろの女の子は……
その女の子だけは
知ってるの。


並び替えたあと。

トントンと、肩を叩かれた。


ん?と振り返ると 彼女は「緊張やばあ」と焦ったように言った。

その声に「私もだよ」と小さな声で返して、前を向いた。


先生の合図で、体育館のカーテンが
ばばばっと開いて、

最初のクラスの生徒がどんどん入場していく。


私も、ふぅ、と深呼吸をして
1歩踏み出した。



体育館に足を踏み込むと
在校生が、真ん中の新入生が通る1本の道を向いて、拍手をしていた。

うわあ、緊張する……。

なんか、見られるの得意じゃないし…。



前の人についていくがままに、
自分の席へと座った。


教頭らしき人が開会の言葉をして
入学式が始まった。


校長先生の長ったらしい話。

来賓の方々の紹介。
だいたいね、横向いたりできないんだから、誰が誰だか言われても見れないじゃん。

いつも思う。



ぼーーーーーっとしてると、司会の誰だかわかんない先生が「新入生代表挨拶」と言った。


「新入生代表、一年A組、小西雄太。」

続けて、その人がそう言うと、一番前のクラスの男の人が立って、壇上へと上がった。


はぁ、すごいねえ、
A組って、特進クラスじゃん。

しかも、代表挨拶してるってことは
成績が1番だったってことじゃん。



すごいわあ。

わたしなんて ……
カスに思えて来たなあ。


ぼーーーーっとしてると
いつのまにか、挨拶が終わってた。


司会者の人が、「閉式の言葉」そう言って、入学式は閉じられた。