「……俺のバカ野郎。」


学校から帰ってきて走って自室へ行きベッドにダイブする。
母さんにうるさいって怒られたけどそれどころじゃない。
なんで俺、あの時ああ言ったんだよ。
あそこは、あそこは。
告白するところだろうが!!


数時間前の出来事を振り返る。


今週の図書当番、女子の委員である藤村より先に着くため。
俺は終礼が終わるとともに教室を飛び出した。
いつも早く図書室にきて、冊子の準備を済ませ本を呼んでいる藤村。


彼女は、あまり騒がしいタイプではない。
むしろ大人しい方で、友達とワイワイするより本を呼んでいる姿の方がよく見かける。
だから、思いっきり笑ったりするタイプではないと。
そう思っていた。


でも、それは間違いで。


部活の帰り、アイスが食べたくなった俺は学校近くのコンビニに寄り道をしたことがある。
その時、店内に見知った顔を見かけた。
学校にいる時と雰囲気が違って気付かなかったけど。
あれは、藤村だった。


いつも三つ編みをしている髪は下ろしていて。
癖がついたのか軽くウェーブがかっていた。
制服ではなく私服姿もあって、少し大人っぽく見えた。


声をかけようか、そう思ったけど。
話した事もなかったし、母親と一緒に来ていたみたいだったから。
声をかけるのをやめた。


「見てお母さん、コンポタ味とかあるよ!」