僕が持つ最も古い記憶だ。

僕が5歳の時、僕はある死の現場に立ち会った。

そこは車通りの多い住宅街の道で、二匹の猫の親子がその道を横切ろうとした。

一匹は大きな黒い母猫。

もう一匹は真っ白で小さな子猫だ。

二匹はあたりをうかがいながら恐る恐る道路に侵入した。

道の向こうにある空き地には、涼しげな寝床に最適な立木があった。

二匹の親子は、よくそこの木の影で昼寝をしていた。

しかし、その日、

道を渡りかけた親子に一台のトラックが向かってきた。

残酷なことに、トラックは二匹の猫を襲う。

『ギャアアア………!!!!!!!』

耳をふさぎたくなるような恐ろしい叫び声をあげて、

母猫はトラックにはじき飛ばされた。

母猫は衝突の威力で首の骨が折れたようで、

道の端にありえない角度に首を曲げて横たわっていた。