「はぁ、はぁ、はぁ……」
俺は楓がいつも使っている駅についてからも走って楓の家に向かっていた。

どんな風に謝っていいのかわからない。

どんな顔で楓を見ればいいのかわからない。

許してもらえるなんて思っていない。

それでも走って向かわずにはいられなかった。

楓の家には一度だけ楓を迎えに行ったことがあるので道に迷うことなく家の前までこれた。

ちなみに家はめちゃくちゃデカイ。

俺がインターホンを押すと母親らしき人がでた。

「どちら様ですか?」

「すみません、俺楓さんの友達の明石っていいます。楓さんはいらっしゃいますか?」

夕飯の時間に迷惑かとも思ったが今はそんな余裕がなかった。

「今呼んでくるからちょっと待っててね」
そう言ってインターホンは切れた。

五分ほど待っているとドアが開き楓が出てきた。

楓の目は少し赤くなっていて、さっきまで泣いていたのがわかった。

もうずっと会っていないように思うほどこの一週間は長く感じた。

「楓、ごめん」
俺は頭を下げた。

「なにが?」
楓は涙声で聞いてきた。

「裏切ってごめん。傷つけてごめん。俺なんかが君を好きになってごめん」

「バカ、ゴミ、クズ、そんなんで許せるわけないよ。絶対に許さない」
許されなくて当然だ。

勘違いとはいえ俺もその気持ちを味わったので許されるわけがないとわかっている。

「絶対に許さないけど、遊園地に連れて行ってくれたら考えてあげる」

「えっ」俺は聞き間違いがいかと思って楓を見た。

「そのかわり遊園地の絶叫系、罰ゲームとして全部乗ってもらうから」
楓はもう完璧泣きながら言った。

「どんな罰ゲームだって受けるよ。そしてもう二度俺は楓を泣かせたりしない」

「約束だよ」

「うん。約束だ」
その瞬間楓は俺の胸に飛び込んできた。

「創太、大好きだよ」

「俺も楓のことが好きだ」
俺は力強く楓を抱きしめた。