私のクラスは比較的マジメ。

他のクラスと比べれば、ほんの少しだけ、マジメ。

それは、中島くんがいるからだ。






「どうしたの、クマやっば」


次の日、寝不足のまま登校したらミカちゃんに笑われた。





「だって昨日、中島くんが……」



うっかり口にしそうになる。
慌てて周りを見渡して、中島くんがいないかどうか、確かめる。


よかった、まだ来てないみたい。





「あのさ、中島くんのことなんだけど」


声をひそめて、初めから打ち明けることはせず、さりげなく話題をつくる。





「中島くん? って、うちのクラスの中島琉生くん?」

「うん」

「まさか、好きになった?」

「っ、なわけあるかあ!」




つい大きな声が出てしまう。
思い出すとくやしい。

夢だったらよかったと朝から何回思ったことか。
でも、怒りで我を忘れるわけにはいかない。





「いやいや、正直になっていいんだよ。イケメンでー、優しくて、頭も良くて。男ばっかりのむさくるしい不良校の希望の光」


「ひどいよミカちゃん、私に好きな人いるの知ってるくせに……」



しょんぼりとうなだれてみせると、ごめんごめん、と頭をなでてくれる。




「はのんはずっと、生徒会長に一途だもんね」




そうだよ。
だから泣いたんだ、中島くんに、あんなにあっさり唇を奪われて。