「へえー。今年もけっきょく一般公開するんだ」



どうでもよさそうにそう言ったミカちゃん。

やっと教室に戻ってこれた私は疲れきっていた。




最終的に午前中の授業時間をすべて使って行われた会議は、つい先日、中止が決定されたはずの文化祭の一般公開を再び見直すというもので。





「西区のお偉いさんに反対されたんだって。文化祭の一般公開をなくすと、今まで以上に人を呼び込めなくなるからって……」



ああ、と納得したようにミカちゃんがうなずく。



ほぼ男子校化しているこの西高。

素行が悪くてフマジメで校舎の壁にはラクガキだらけ。

学力も全国偏差値を余裕で下まわる。


すると必然的に、地元のマジメな中学生はみんな他の高校を目指しはじめるし、ましてや西区外から生徒を確保しようなんて無茶な話。



西区のお偉いさんからしてみれば、人を呼び込むチャンスはできるだけ活用したほうがいいってことなんだろうけど……。



1年前の文化祭を思いだして、はあとため息がでる。

あまりにも暴力騒ぎが絶えないから、私はクラスの当番以外の時間は、校舎の隅っこで縮こまってすごしてた。