少女漫画や小説の類では、大抵ヒロインは無自覚で美人だ。
いくら平凡を名乗っていても、なんだかんだ言って数多くの異性から行為を寄せられる。
この物語のヒロインである私も例外ではなく、美人。
___が、一つだけ違う個所がある。
私は、自覚系美人だ。
だが、悲しきかな。
今の日本では、自分の容姿を可愛いやカッコいいと自覚するだけで、ナルシストの部類に一括りにされてしまう。
だから私は演じることにした。
無自覚美少女を。
この顔に似合うような才能も努力して身に着けた。
お料理も裁縫も、なんども練習し特技として数えるには十分なほどに身に着けた。
顔だって、毎日のスキンケアは欠かさなかったし、ダイエットもした。
流行だってしきりにチェックし、興味のないアイドルの多少の知識は身に着けた。
こうした努力の元、私という人格は出来上がった。
まるでお化粧みたいに。
自分の本性(素顔)の上に、何度も何度も重ねていって。
優しくて気遣いが出来て、女子力があっ可愛い少女。
楠 真琴(KUSUNOKI MAKOTO)が出来上がったのだ。