私は初めて共学の高校に転校した。

朝は大好きなクマのぬいぐるみに囲まれて朝を迎える。

階段を降りて顔を洗い念入りに化粧水をつける。

歯を磨いては笑顔で自分に笑いかける。

【今日も私は可愛い!】

綺麗にアイロンされた制服に腕を通して鏡の前で最終確認。

昨日作っておいたおかずを冷蔵庫から取り出しピンクの花の絵のついたお弁当箱と青い無地のお弁当にそれぞれ詰めていく。

今日も食べてくれると嬉しいな、と暖かいご飯を容器に入れると少し冷ます。

その間に焼いていたトーストが出来上がりバターを塗って頬張る。

おいしいと内心思いながら小学校から続く朝のトーストに目を閉じる。

さぁ、今日も頑張って登校しよう!










「また来たの?あんた」

「高谷さんそんなにパンばっかり食べてると体に悪いわよ?野菜も取らないと!」

「うっわー…でたよ高谷のストーカー…」

「健気だよねー」



高谷と名前を呼ばれた人物は長い髪に赤いメッシュと黒髪の襟足。

ストーカーと呼ぶのは高谷の友人で蛇島というヤンキーぽい男だ。

健気だと感心しているのは完全なるギャルに近い女の子の雨井だ。

食べてやれよ、とからかう蛇島に高谷は無言で有倉から弁当を受け取った。

ニコニコと笑う有倉に高谷は眉を顰めるが気になりだしたお弁当に目を向けた。















『俺の好物ばったかり…』



高谷は内心嬉しくもあり何故ここまでするのかと有倉を盗み見るが有谷は蛇島と軽く喧嘩していた。