「お前に出会ったのはまだ小学生の頃だった。少し引っ込み事案だったお前は、母の後ろに隠れてい

たのをよく覚えているよ。でも、その時の俺は、お前と話す勇気がなかった……。そんな中、俺の横

を平然と通り君の前に立って声を掛けた子がいるんだ。そいつの名前は……。」

『石凪春斗(いしなぎはると)です!お友達になりませんか?』

「石凪春斗。元気に無邪気に笑うあいつが、俺たち三人を引き合わせ、そしてお前の初めての友達

だ…。」

私は、仁人の事を思い出すだけで精一杯なのに、私に友達がいたなんて全然覚えていない…?

「で、その石凪春斗くんは今どこにいるの?」

「……。」

仁人は、下をうつむき手を一の形にして上を指した。

「死んだよ。もう、この世にはいないよ。」

ドクンッ

心臓の鼓動が加速する。

ゆっくりと……ゆっくりと……。

……なんだろう?

この違和感…。

「ねぇ…?どうして…、死んじゃったの…?」

私は、背筋が凍りそうなくらい怖かった。

けど、最後まで聞かなきゃいけないと心のどこかでそう思っていた。

「……。よし!続きは明日話すよ!春斗のいる場所で!」

「え…!?もう、いないんじゃぁ……?」

「何言ってんだよ!あそこに行けばいつでも会えるって!」

あそこ……?

「明日放課後、下駄箱で集合な!」

そう言い、仁人は私の部屋から去って行った。

「私にもう一人の友達……。」

一人になった私は、そう呟き一人で窓の外から景色を眺めた。

「なんで、私覚えてないんだろう……?」