2年前。私が中学2年生だった時のこと。

私のクラスにはいじめがあった。

「おい、クソブタ!早くジュース買ってこい!5人分だぞ!私たちが気にいるやつじゃなかったら、わかってるよな?」

はい…と蚊の鳴くような声で返事をして教室を飛び出していったのは、里谷友紀。

友紀は身長は低く、体重は80キロはある。

いわゆる肥満児。だけど、私は知っている。

というか、クラスのみんな知っている。

彼女は、病気なのだ。痩せたくても痩せられない。

詳しくその病気は知らないが、彼女がいじめを逃れるため、痩せることはできない。

そのことはクラスのほとんどが理解している。

でも、彼女を助けることは誰もしなかった。

「病気だから、仕方ない。」と、彼女を庇うものはいなかった。

なぜなら、いじめの主犯格、麻木結愛(あさぎゆあ)は、大手の会社の社長令嬢であり、歯向かえば潰されることをみんな理解していたのだ。

だから、私もいじめを見て見ぬ振りしていた。

だけど、あの日をきっかけに、私と友紀の関係が変わって行くこととなった。