ナオと一緒に暮らし始めて2週間が経った。

重役というものは、重要な書類に目を通したり、判を押したり、そういうことばかりが仕事なのだと思っていたけど、実際には出張も接待も多い。
お酒の席はもちろん、ゴルフ接待も…

偉い人は大抵ゴルフ接待があるというイメージが漠然とあったから、そのイメージは当たっていたということになる。

だけど休日にゴルフに出かけてしまうのは、正直なところかなり寂しい。

朝早くに出て、帰りはお酒を飲んで帰って来るから夜遅くなるのだ。

私の心細さが顔に出てしまっているのか、見送りに玄関まで出た私の頭をナオはポンポンとなでた。

外では迎えの車がすでに待っているという。

「行ってくる」

「うん。いってらっしゃい」

啄むような軽いキスをして、ナオは部屋を出て行った。