「なぁ悠ー!球技大会のサッカーあと何人ー?」




「あと、3人」




いつもガヤガヤしているクラスだが一段と今日は煩い。
何度目か分からないほど“球技大会”というキーワードを聞いた。
この休み時間で少なくとも17回は耳にした。




「紫音っ!」



その騒がしいクラスを遠目から見ていた私に突如、ハイトーンなお声が降り注ぐ。



「千聖ちゃん!?」



「ちぃでいいよ、それよりさ、球技大会バレー入ってくれない?」



…うん。…18回目だ。



私はとりあえず出していた文庫本を閉じて引き出しに入れる。