先日、メフィーア新商品の競合コンペの日程が正式にメールで通達され、勝負の日が三日後に迫る中、私と剣持部長は企画書を煮詰めるため、ラストスパートにかかっていた。

営業部の社員と専務も交えコンペに向けての会議を綿密に何度も行った。剣持部長とひとつ屋根の下での生活では、朝、お互いに早く起きて一緒に案を練ったり、仕事が終わってから話し合ったりと、毎日顔を合わせることができたため、剣持部長がはじめに言っていた通り効率よく仕事が進んだ。とくに姉から聞いた話を元に、“親近感のある親しみやすいティアラ”という謳い文句は剣持部長も気に入ってくれて、最終的に出来上がった企画書を高く評価してくれた。

コンペはオリエンテーションとは違い、数々のライバル社の中から選ばれなければ意味がない。あとは剣持部長がコンペでメフィーアを魅了できるようなプレゼンをしてくれることを祈るだけだ。競合他社とのコンペの中、何十万人と従業員を抱える大企業のトップ層に向けてのプレゼンはプレッシャーだし、期待も高まるけれど、彼ならきっと採用を勝ち取ってくれると信じている。