この地域でもよく知られた一等地に建つ高層マンションの一室。



「適当に座ってろ」



まるでモデルルームのような、それはそれは広いリビングに通された私は、ものすごく間抜けな顔で突っ立っていた。


何やってんの私……。


何でこんなことになってるの?


何のこのこと鬼のすみかにやってきちゃったの!?!?





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───



『俺の家に来い』


『……………は?』



てっきり無理矢理家に帰されるかと思ったのに、目の前の男は驚くほど平然とした態度でそれとは全く逆のことを言ってきた。


家に来いって……。


ってか、その前にこの男、“拾ってやる”って言わなかった?



『えっと……それはつまり、私がアンタの家でお世話になるってことじゃ…ないよね?』


『そうだ。どうせ行くとこもないんだろ?』



“そうだ”ってあなた……。


そんなの……。



『む、無理だからっ!!!!』


『何で』


『何でって…当たり前でしょ!?誰があんたみたいなヤツの世話になるかっての!!』


『助けてもらっといて失礼なヤツだな』


『うっ……』



だってだってだって!